「小学校のPTAに非加入だったため卒業記念がもらえず、子どもが寂しい思いをした」といった内容の投稿が話題をよんでいます。これはPTAが数年前から任意加入であるということが広く認識されるようになり、PTAに非加入する家庭が増えたためです。
私はこれまで2人の子どもを通してPTA活動に参加してきました。それを通じてPTA非加入世帯に対する実際の保護者の感情と、PTA非加入世帯の子どもがどのような不利益を受けるのかというデメリットについてまとめました。
また私がPTA活動を通して気がついた、表には出てこないPTA未加入の本当のデメリットについてもお知らせしたいと思います。
PTA未加入はダメ?許されないことなのか?
PTAに加入するしないは自由
そもそもPTAの語源は「Parent Teacher Association、父母と先生の会」でこれを略したもの。「保護者と先生が協力して子どもにより良い教育環境を整えよう」という趣旨で、立ち上がった団体です。
したがって「PTAに加入する義務がある」といった法律は存在しません。つまり、あくまでPTAは任意団体であり、加入や未加入は個人の自由ということです。
PTA未加入世帯に対する強い風当たり
とはいえ、PTAの活動に支えられている学校行事等は数多くあります。例えば卒業式でいえば、子どもたちへの記念品や学校備品の贈呈、地元住民の来賓をご招待、会場準備、ご挨拶周りなどですね。こうした大きな行事には、PTA未加入世帯のお子さんも多くが参加することでしょう。
そうなると「なぜPTA会費も払ってないのに、親はPTA活動に参加せず、それでいて子どもは行事に出席する上に記念品までもらうの?ずるいでしょ!」と言った不満が出るのも仕方がないことではないでしょうか。
実は、私もPTA活動に参加するようになるまでは、非加入世帯に対して不満がなかったといえば嘘になります。
PTA非加入世帯に対する実際の保護者感情
ここからは、私がPTA活動をしていた小学校でおきた実際の体験談です。
保護者数人でPTA活動のプリントの印刷や配布準備をしていると、枚数と子どもの人数が合いませんでした。おかしいな〜と調べていると、先輩お母さんが一言、「あぁ、◯◯さんのお宅はPTA非加入だから、活動しないでしょ。だからPTA活動お知らせプリントは配らないのよ。」ということでした。
「そうですか…」とはなったものの、その場の雰囲気がサッと悪くなり、非加入のご家庭が良い印象をもたれていないという印象を強く受けました。
PTA活動は小さい空き教室で色々なグループが活動することが多いので、PTA未加入のご家庭の名前はもちろん、お子さんクラスやお名前も知れてしまいます。逆に配布物を配るときに上記のような問題が起こるので、PTA活動グループで内密に共有しないと大変なのです。
ではその方たちが意地悪なのかというとそうではありません。わざわざ仕事が休みの日や手が空いた時間をぬって学校まで来て、子どもたちのためにとPTA活動をしているわけです。小さい赤ちゃんを背負ってくる方もいます。ご家族を介護されている方もいます。難病の方もいます。
そんな方々なので、皆さんそれぞれPTA非加入のご家庭については「何か深い事情があるのだろう」と受け止めています。さらにPTA非加入世帯のお子さんが寂しい思いや辛い思いをしていないだろうか、何かケアが必要な状況ではないだろうかという声も上がります。
先述したように、私はそれまでPTA非加入のご家庭に対しては不満をもっていたのですが、こういうやりとりを聞いて活動しているうちに、こんな優しい人たちがいるんだなと温かい気持ちになりました。
それと同時にPTA非加入のご家庭の人には、以前の私のように不満をもつ人がいる一方で、こんな風に温かく考えてくれている人もいるって知って欲しいとも思っています。
PTA未加入の本当のデメリット。子どもにかかる不利益とは。
PTA設立の趣旨からして、PTA加入、未加入に関わらず、子どもに不利益が生じることはあってはならないということがわかります。
しかし、PTA未加入世帯に対する対応は、それぞれのPTAに委ねられているのが現状です。そのため以下のような信じられないことが実際におこっています(現在はだいぶ改善されてきています)。
子どもに対する目にみえる不利益
- 「卒業式の記念品がもらえない。希望する場合は実費で払えば配布すると言われる」
- 「登校班から外され、一年以上にわたり車で送迎することに」
- 「運動会のテントはPTAで購入したので夏場でも入れさせないと言われた」
出典:PTA非加入も一つの選択肢 「子どもに不利益」は脅しに過ぎない?(https://dot.asahi.com/articles/-/127799?page=2より)
これらはやりすぎと言われても仕方ないですね。しかし、もっと怖いのは以下の目に見えない不利益ではないでしょうか。
最も怖いのは子どもに対する目に見えない不利益
忘れてはならないのが先述した保護者感情です。PTA非加入世帯の名前は内密ではありますが、学校とPTA関係者には共有されています。つまり、保護者間では「あぁ、この人がPTA未加入の◯◯さんね…。そして、この子がそのお家の◯◯ちゃんね…。」となっているわけです。
表に出ない分、気持ち悪いかも知れません。当然ですが保護者の中にはPTA非加入の事情を理解してくれる方も入れば、そうでない方もいます。そしてそれが陰ながら子どもに向けられることもあります。
私はこれがPTA未加入の本当に怖いデメリットだと感じています。子どもは友だちから何かを言われても、親には気を使って言わなかったりします。高学年にもなれば大人が思うよりも状況を理解しているものです。
PTA非加入の選択をする親御さんは、お子さんがある程度大きくなったら「なぜ我が家はPTAに加入しないという選択をしたか」について、話し合うなどのサポートが必要と感じます。
私のPTA体験談。PTA、そんなに悪いもんじゃないよ。
ここまで読んで、「なんてひどいことをするんだ。絶対、PTAには加入しないで戦ってやる!」という方もいるかも知れないですが…。
そんなあなたに提案です。
私も以前はPTAに対して「母親もフルタイムの共働きの時代にあってない」「本当にこの活動必要?」「時間的に余裕のある人がやればいいのでは」というマイナスイメージしかもっていませんでした。そしてある時、くじ引きで役員に強制的にされてしまいました。その時の私は持病の手術を終えてフルタイムの仕事に復帰したばかり。毎日ヘロヘロの状態で、仕事と育児に追われながら涙を流してPTAに加入したことを後悔しました。
しかし、PTA活動に加わって数年。小学校を卒業した今でも、一緒にPTA活動したお母さんたちと飲みに行っては子どもの話だけでなく、色んな話ができる良い関係が続いています。大人になってからの貴重な友人をPTA活動が作ってくれたのです。
正直、小学校のPTA活動は改善点だらけだと感じています。だからこそ非加入世帯が増加してトラブルが増えているのです。「PTA活動に意義を感じないから参加したくない」と考えているあなたこそ、PTAに参加してPTA活動を意義のあるものに変えていけるのではないかと思うのです。
何はともあれ、一度やってみたらどうかなぁ。結構いいもんだよ。
まとめ
PTA非加入には以下のようなデメリットがあげられます。
- PTA非加入世帯に対する保護者感情がよくない場合が多い。
- 例えば卒業式では卒業記念品がもらえないなど、イベント毎に不利益をこうむる可能性がある。
しかし、PTA活動を通して分かったことは、本当に怖いデメリットは子どもに対する目に見えない不利益だということです。
しかし、PTA非加入世帯の皆さん。一度立ち止まって考えてくれませんか。そんなにPTAが嫌いですか?
非加入の人にありがちなのが「PTA活動に関わったことがあまりない」ということです。現代のPTA問題を変えるのは、問題が見えているあなたが適任だと私は思います。
逆にPTA非加入世帯に否定的な皆さん。なぜPTA活動に参加しないのかについて、考えてみることも必要だと思います。
私の小学校のPTA役員さんみたいに、優しい気持ちで歩みよってくれたら嬉しいな。