2024年11月5日、愛媛県宇和島市の川に体長5〜6mのジンベエザメが現れ話題になりましたが、6日に川底で死亡しているのが確認されました。
実はこのジンベエザメは純粋な野生個体ではなく、大阪・海遊館で飼育されていた「海くん」であったことがわかっています。
しかもこの「海くん」は8代目。水族館のジンベエザメはこれまでも海へ放流されてきたのです。
この記事では、8代目「海くん」となぜジンベエザメが海洋放流されるのかについて、情報をまとめました!
「海くん」が川に迷い込むまでの経緯
【2024年11月5日】
午前、岩松川(宇和島市津島町)の河口から約1km上流の川底で動けなくなっている姿が目撃される。
22時ごろまで動く姿が確認。
【2024年11月6日】
川底に沈んでいるのを確認。
→ 海遊館職員が潜水し、死亡を確認。
→ クレーンで川から引き上げ。
川に迷い込んだジンベエザメが「海くん」と断定された根拠
宇和島市の川に迷い込んで死亡したジンベエザメが大阪・海遊館で飼育展示されていた「海くん」と確認された根拠は以下のとおりです。
・データロガー(追跡装置)がついていた
・体の甚兵衛模様の特徴
海遊館ではこれまでに何頭ものジンベエザメを飼育し、その後に海洋放流をおこなっています。
今回、宇和島市の川に迷い込んだ「海くん」は8代目に当たります。
海洋放流後の行動調査のために装着された追跡装置があったからこそ、川に迷い込んだジンベエザメが海くんであると個体特定ができたと言えるでしょう。
死んでしまったのは残念だけど、ちゃんと追跡していたからこそわかったことでもあるね
「海くん(8代目)」の一生まとめ
- 2019年に高知県室戸沖で定置網にかかる(推定年齢4~5歳、全長4.2m、推定体重約700kg)
- 海遊館に引き取られ、「海くん」として約5年間飼育展示される
- 2024年10月3日に生態調査のため高知県土佐清水市沖で放流された(推定年齢9〜10歳・全長5.9m・体重1.5t)
これまでの経緯をみると、海くんが海洋放流されてから川に迷い込んで死亡するまで約1ヶ月しか経っておらず、うまく野生復帰ができなかったといえるでしょう。
この1ヶ月間、海くんがどうやって暮らしていたのか、背中についていた追跡装置のデータ解析結果も知りたいね
なぜ水族館のジンベエザメは海洋放流されるのか?
そもそも、なぜ水族館のジンベエザメは繰り返し海洋放流されてきたのでしょうか。
その理由を一言で言うと、「ジンベエザメが成長して体長が大きくなりすぎると水族館で健康的に飼うことが難しくなる」ためです。
実際に8代目「海くん」の全長と体重は、5年間で以下のように増大しています。
大きくなりすぎると、水族館ではこんな問題が生じてきます。
- 水槽が狭くなる
- パニックになるなどして暴れた時に水槽を壊す可能性がある
- 病気や怪我をした時に、治療のための保定ができない(ダイバーが数人がかりで抑えても姿勢を保つことができない)
- トラック輸送ができなくなる
飼育下のジンベエザメを海洋放流するもう一つの理由として、「自然界でのジンベエザメの行動を調査するため」もあげられます。
しかし、個人的には野生個体に追跡装置をつければよいのであって、飼い慣らしたジンベエザメをわざわざ海へ放流する必要はないと考えています。
ジンベエザメを終生飼育できる施設や技術が完成することが、今回のような悲劇を繰り返さない一つの方法なのではないでしょうか。
皆さんは、どう思いましたか?