休眠した月面探査機SLIM。月面の超低温には耐えられない設計?!

日本初の月面着陸に成功したJAXAの月面探査機SLIM(スリム)。着陸姿勢が傾き、太陽光発電パネルが太陽の方向を向いていなかったため、発電ができずに地上との通信が途絶えていました

しかし月の公転にともなって太陽光の差し込む角度が徐々に変わり、太陽光パネルからの発電が可能となって地上との通信が復活。奇跡の復活劇に地球は盛り上がりました。

しかし、そのわずか4日後、SLIMが休眠状態に入るとの発表があったのです。この記事では、SLIM休眠の理由と再稼働の時期について説明します。




目次

SLIMが休眠した理由は「月の夜」がおとずれたから

月の1日は地球の約1か月(約30日間)にあたります。 つまり、昼が約15日間続き、その後に夜が15日間続くわけです。

現在SLIMのいる場所が夜になると、太陽光パネルによる発電ができなくなって地上との通信が途絶えてしまいます。そのため自主的に電源を落として「休眠」することで、2週間後の昼が来るのを待つということでしょう。

SLIMの運用再開は2024年2月中旬以降…だけど

2024年1月31日にSLIMは休眠状態に入りました。ですので、次に再稼働するのは約2週間後の2月16日ごろということですね。JAXAの正式な発表では「2月中旬以降」ということです。

「SLIMの運用再開が楽しみ!」と言いたいところですが、非常に気になる情報を見つけてしまいました。

SLIMの復活は不可能?月面の超低温に耐えられる設計でない

見つけた記事は以下の内容です。

月面の夜の温度はセ氏マイナス170度にもなり、機体は性能を維持する設計はしていない。

日本経済新聞2024年2月1日 月探査機「SLIM」休眠状態に JAXA、日没で発電停止(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC311WT0R30C24A1000000/)より

夜の月面温度は約マイナス170度。SLIMはこの極端な低温下に耐える設計にはなっておらず、特に電子機器にダメージを受ける可能性が示唆されているようです。

こっこ

軟着陸とはいえ、日本初の月面着陸に成功したばかりなのに…

いかに宇宙探査が困難なことに挑戦しているかということがわかりますね。JAXAやそれに関わる方の努力に頭が下がります。すごいことです!

しかし、このまま運用が終わってしまったら寂しいですね。SLIMが過酷な月面の夜を乗り越えて、無事に復活することを願っています。ちばりよーっ、SLIM!




SLIMの実績まとめ

小型月着陸実証機(Smart Lander for Investigating Moon、略称 SLIM)が残した足あとの記録です。

2023年9月7日 種子島宇宙センターからH2Aロケット47号機にて打ち上げ

2024年1月20日 日本初の月面着陸に成功。世界初となる高精度月着陸(ピンポイント着陸)を達成。

2024年1月20日 通信が途絶える。着陸から約2時間後、太陽光発電が機能せずバッテリー切れ。

2024年1月28日 通信再開。月の公転により太陽光の角度が変わりパネルに当たって発電可能に。

2024年1月31日 電源を落とし活動終了、休眠状態に入る。着陸地点付近が約15日間の月の夜になり、発電ができないため。



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この記事を書いた人

「動物も人間も幸せに暮らせるようになって、動物園や水族館がなくなったらいいな」って考えてる、少し変わった飼育係。ひれあし担当。

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