狂犬病ワクチンを打たないとどうなる?罰金20万円って本当?

狂犬病予防ワクチンを打たない、打ちたくないという飼い主さんがいます。世間一般の感覚では「そんな人は飼い主の資格なし!」と厳しい意見が聞こえてきそうですが、その理由は一体なんでしょうか?

今回は狂犬病ワクチンをしない理由と、接種しなかった場合に罪に問われるのかどうか、また接種しなくても良いケースについて説明します。




目次

狂犬病ワクチン接種をしない、したくない主な理由

狂犬病予防接種の料金が高い

狂犬病ワクチンの接種は動物病院でも個別注射をすることもできますが、お住まいの自治体でも集団注射が行われています。

自治体でも行われる理由は、日本では狂犬病予防法により、犬の飼い主は毎年4月1日から6月30日までの間に狂犬病予防注射を受けなければらないことが定められているからです。

狂犬病予防接種の費用は以下の通りです。対した金額には思えませんが、狂犬病ワクチンは年に一回、毎年の接種が義務付けされています。飼い犬の寿命はどんどん長くなっていますし、複数頭を飼育している方などは、支払いを渋る方も出てくるでしょう。

接種場所接種費用
動物病院3000〜4000円程度
自治体3000円前後+550円「狂犬病予防注射済票」交付手数料

副作用が怖い

ヒトと同じく予防接種で問題になるのは副作用です。狂犬病ワクチンで飼い犬が死亡した事例は、少ないですが確かにあります。

東京環境アレルギー研究所と麻布大学の共同研究チームの発表によると、年に10頭前後が狂犬病予防接種後に副作用により死亡、死亡していなくても副作用に苦しむ飼い犬も一定数いることがわかっています。

過去のデータを集約・分析したところ、狂犬病ワクチン接種後に300頭以上の犬に重篤な副反応がみられ、その半数以上が死亡していたことが分かった。

狂犬病ワクチンの重篤な副反応で年10頭前後が死亡…麻布大などの研究チームが発表(https://reanimal.jp/article/2021/07/17/2403.html)より

同記事によると確率論的には「狂犬病ワクチンの場合、アナフィラキシー以外の重篤な副反応を含めても0.44/100,000と有害事象の発生率は低く安全性は高い」と言えるようです。しかし、それでも不安に感じる飼い主さんがいるのは確かでしょう。

狂犬病ワクチン接種の案内ハガキをなくした、うっかり忘れた

一番多いのがこのケースではないでしょうか。

お住まいの治体で登録されている犬については、狂犬病予防注射の案内はがきが3月末までに郵送されます。はがきが届かない場合や無くしてしまった場合は、自治体に連絡してみましょう。

犬鑑札をしていれば案内ハガキを無くしても接種できるところもあるようですが、自治体によって対応が異なります。

ちなみに自治体に飼い犬を登録している証である犬鑑札は、自治体によってデザインが異なっています。彦根市はひこちゃん。

狂犬病ワクチンを打たなくても良いケース

飼い犬が病気治療中などの特別な理由がある

狂犬病ワクチンを接種しなくても良いケースがあります。それは、愛犬が難病をもっていたり、ガンなどの病気の治療中、または過去にワクチンによるアレルギー反応などがみられた場合です。しかし、この場合は以下のような条件がつきます。

狂犬病予防注射猶予証明書が発行されている

上記の理由があっても、個人の判断でワクチン接種をしないということはできません。獣医師による「狂犬病予防注射猶予証明書」を発行してもらえた場合のみです。しかし、これはあくまでがん治療中などの正当な理由があるとき、獣医師の判断により狂犬病予防接種が免除されるものです。

証明書を発行してもらえた場合であっても、市町村の公衆衛生を担当する部署に連絡する必要があるほか、翌年のワクチン接種を控えたい場合にも、新たに証明書の発行が必要なることにも注意が必要です。

狂犬病ワクチンを打たないと狂犬病予防法違反に当たる可能性も。

ワクチン未接種は20万円以下の罰金になる場合も

日本では狂犬病予防法により、飼い主は狂犬病予防接種を受けることが義務つけられています。つまり、飼い犬に年に一回、狂犬病予防接種を受けさせないということは、法に触れるということです。

「犬の所有者(所有者以外の者が管理する場合には、その者。以下同じ。)は、その犬について、厚生労働省令の定めるところにより、狂犬病の予防注射を毎年一回受けさせなければならない。」

狂犬病予防法5条1項より

これに違反した場合は、狂犬病予防法27条により20万円以下の罰金刑が適用されます。立派な刑事罰になりますので、十分に注意しましょう。

狂犬病ワクチン接種をうっかり忘れた場合、どうしたらいい?

うっかりワクチン接種を忘れてしまったことがきっかけで罰金20万円を恐れるあまり、その後のワクチン接種をしないケースが出てくる可能性もあります。そのため、故意でなければ大半のケースが注意で済む可能性は高いです。

もしあなたが愛犬に狂犬病ワクチン接種をするのを忘れてしまったら、すぐにかかりつけの動物病院に相談しましょう。以下のように接種時期は決まっていますが、今からでも忘れないような工夫ができるはずです。

狂犬病ワクチン接種時期

  • 成犬は4月〜6月に狂犬病注射を受けさせることが義務付けられている
  • 子犬は生後91日以降の子を飼いはじめて30日以内にワクチン摂取することが義務付けられている

くれぐれも「狂犬病ワクチン接種を忘れても、罰せられないから大丈夫」とは絶対に思わないでください。

毎年、故意であると判断されて書類送検される事例が後を断ちません。令和4年は135事件、令和3年は160事件が狂犬病予防法違反で検挙されています。




まとめ

犬の飼い主さんは、法律によって年1回の狂犬病の予防接種が義務付けられています。未接種の場合は20万円以下の罰金もありえるので、必ず狂犬病ワクチンは接種しましょう。

もし愛犬の体調が悪かったり難病をもっているなど予防接種を受ける際に不安がある場合は、かかりつけの獣医師に相談して「狂犬病予防注射猶予証明書」が発行してもらえるか聞いてみましょう。

何より、狂犬病は発症すれば致死率ほぼ100%という恐ろしい病気です。世界保健機関(WHO)によると、世界では毎年3万5,000〜5万人が狂犬病によって死亡しています。

人も犬も幸せに暮らせるように、(特別な場合を除き)ワクチン接種は必須と言えますね。

こっこ

ヒトもイヌもHAPPYな世の中であるように!



よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

「動物も人間も幸せに暮らせるようになって、動物園や水族館がなくなったらいいな」って考えてる、少し変わった飼育係。ひれあし担当。

目次