私たち日本人にとって、ゾウは一番人気で馴染みのある動物と言っても過言ではありません。しかし、生息地から動物園に野生動物を連れてきて展示していた時代は終わり、生息地では絶滅の恐れがあるとして保護されるようになりました。
動物園は野生動物たちの生息域外の保護施設としての役割を担うとともに、動物園同士が互いに協力して繁殖を進めていく時代になりました。しかしゾウは動物園での繁殖が進んでおらず、近い将来、動物園からゾウが消える日が来ると言われています。
今回はゾウの中でも、特に絶滅の恐れの高いマルミミゾウについて解説します。
マルミミゾウってどんな動物?
- 和名 マルミミゾウ(シンリンゾウ)
- 学名 Loxodonta cyclotis
- 英名 African Forest Elephant
- 分類 哺乳綱 ゾウ目(長鼻目) ゾウ科
- 分布 カメルーンからコンゴ、アンゴラにかけての森林地帯
- IUCN絶滅危惧種ランク CR(深刻な危機)
マルミミゾウに出会えるのは広島市安佐動物公園だけ
現在、日本で飼育されているマルミミゾウはたったの1園館、2頭しか飼育されていません。広島県北区にある安佐動物公園に「ダイ(オス)」と「メイ(メス)」が暮らしています。
メイは推定で2歳の頃、2001年5月13日からアフリカのブルキナファソから安佐動物公園に来園しました。その後、他のアフリカゾウと体格や耳の形が異なったため2008年に遺伝子検査をおこなったところ、マルミミゾウであることがわかったそうです。
もともとダイは、メイが安佐動物公園に来園したのと同時期に、秋吉台自然動物公園サファリランドに「ミミ(メス)」と一緒に来園しました。しかし残念ながらミミは2013年に死亡、ダイ1頭のみとなっていました。
その後、2022年6月2日に秋吉台自然動物公園サファリランドからダイが来園。こうして、世界でもめずらしい飼育下でのマルミミゾウのペアが誕生したのです。
マルミミゾウの繁殖をめざして
世界の動物園水族館でも3頭しか飼育されていないと言われているマルミミゾウ(安佐動物公園調べ)。いうまでもなく野生では絶滅が危惧される超希少種です。
ダイとメイの繁殖に向けて、安佐動物園の取り組みが注目されています!